fish-buddha’s diary

主にtwitterで書くには長くなり過ぎる長文をこちらに書いています。

簿記を勉強した方がいい人と多分要らない人

「簿記3級は一番コスパの良い資格」

というのはぼくの持論ではあるのですが、簿記というのは基本的に法人分野に力点のある資格であり、ちょっと冷静に考えると日本人1億人が全員習得する必要があるかと言えば若干微妙な所がある。と、いうのも日商簿記検定自体は、取得した所で別に独占業務がある訳ではないので、宅建士や税理士の様に取っただけで即日何かがあるというわけではなく、あくまで実務で役に立てる必要があるからだ。

 

そこで今日は簿記を勉強した方が良い人と、多分やってもあまり意味がない人についてそれぞれ属性毎に考えたいと思う。(内は目標とすべき級)

 

【やらない選択肢がない】

・金融機関勤務者、税務署職員、会計士・税理士志望者、経理部員、他(2~1級)

⇒やるか死ぬか選んで

 

【やった方が良い】

・事業会社の総合職で一定以上の職位を目指す方(2級)

⇒末端では関係無くても、管理側・事業企画・投資判断等を迫られる立場になった時に 表示される数字は簿記を理解してる前提で書かれているので、分からないと大変苦労することになる。その職位になる頃には年もそこそこ行っておりしかも忙しい筈なので、若い内からやっておくことを強く推奨

 

・事業会社内で投資の意思決定に携わる方(2級)

⇒投資の費用対効果、是非や内容のDDについては簿記知識があることが前提。これは最終判断する管理職は元より、説明資料を作ったり細目を作る担当レベルでもマストスキルになってしまう。(分からないと出来る事がほぼない)

 

・渉外、購買担当(2級)

⇒金融以外でも渉外担当になる場合、与信管理の観点が登場することがあり、これは基本的に決算が読める前提。取引先経理の状況を斟酌できると案件を進めやすくなる可能性が高い。購買担当であれば一歩進んだ仕事をする為には原価計算はマスト。

 

・起業志望者(2級)

⇒何か手に職があり独立起業を検討されてる方。独立した翌日から公庫のお世話になるが、そのコミュニケーションは簿記を理解している前提。そもそも事業運営にあたっても原価計算のできない社長がやるほど赤字の仕事に気付けず必死で働きながら倒産して行く景色はよくある。

 

システムエンジニア(3~2級)

⇒昨今、法人で利用するシステムの多くが勘定系とも連携しており「そもそも借方とは…?」みたいな状況では、何を作っているか分からない状態で業務に従事する可能性も。また昇進してマネージャー以上の職位に着いた場合には工数(原価)等の計算が必要になる場面も?(想像)

 

フリーランス(3~2級)

⇒独立することにより報酬や経費について正面に立って交渉することが不可避となり、騙されや赤字受注を避ける為にも必要な知識を得る事ができる。

 

・逆転を狙いたい就活生(1級)

⇒特に非有名大学に在学しており、就活で一発逆転を目指したい大学生には簿記1級がお勧め。会計士や税理士よりは大きく難易度が下がるが、ESを見られさえすれば高確率で目に止まる。これには2級では不足するので1級の取得が前提であって、結構な時間を投入する必要はあるが、変なインターン行くくらいなら多分恐らくこちらの方が良い

 

【やって損はしない】

・不動産事業者(2級)

⇒事業計画(CF)を引くのにあたって前提となる知識であり、収益物件を企画する為には前提となるスキル。顧客の資金相談もワンストップで対応できれば信頼される可能性も高い。

 

・一般大学生(2級)

⇒簿記2まで取っておけば就職で最低限度のアピールになる。(3級ではむしろ逆効果かも)上記の「事業会社の総合職で一定以上の職位を目指す方」は事務系だけでなく技術系も採算検討(FS)等でよく使うことになるので、文理関係なくあった方が良い(そも理系の方は数字が強いので簡単に取得してくる印象)

 

・一般職志望者(3~2級)

⇒弊社でも派遣さんの採用要件で「簿記取得者」を入れた事があった。伝票処理を任せられるか任せられないかでできる仕事の幅が増えるし、少々年行っても戦える可能性がある。ただし専業の経理事務員については、現在システム化により大幅減員している為、非総合職かつ専業の経理というのは今後あまり未来はないと思う。

 

・投資家(3~2級)

⇒個別株をやるのであれば、事前に有報を読めるか読めないかで判断が変わってくる場面は多くあると思われる。

 

【あまり要らないかもしれない】

・上記のいずれにも該当しない方

⇒厳密な事を言えば家庭内で資金繰りを回す考え方の前提になったり、価格交渉の場面で使える事等が私生活の場面において皆無ではないかもしれないが、基本的には法人分野に力点がある分野なので、そこと全く接点が無いと何に使えば良いのかパッと思いつかない。パート/アルバイト/嘱託でずっと現業を継続する予定の方、独立予定のない技術者さん、専業主婦の方等は個人領域で役に立つFPの方をお勧め。