fish-buddha’s diary

主にtwitterで書くには長くなり過ぎる長文をこちらに書いています。

銀行員のスキルは転職後に役立つか

【ここまでのあらすじ】

 先日、銀行員の転職について、という少々バクっとしたテーマではてブさせていただいた所意外と伸びてしまい、後になってからもう少しテーマを練った方が良かったかなと若干後悔した。

 

また折角書くのであれば、なるべくN=1の体験談のみではなく、他の辞め銀の方にお話を伺った後にまとめたく、有志を募りヒアリングを行った。(後述のアンケートも実施)

 結果、自分が何となく感じていた事が辞め銀に共通の認識であった事が確認でき、また新しい気付きや言語化も出来たので、それらを取りまとめ「銀行員のスキルは転職後に役立つか」というよりフォーカスしたテーマで再度はてブすることとしたい。尚、例によって外でそのまま売れる様なスキル(=スペシャリティ)をお持ちの方は当該記事では対象外となるので、ご承知おきいただきたい。

 

【結論】

 標題の答えについて、こちらのアンケートがほぼそのまま答えになっていると思われる。

Q.辞め銀転職者の方にお伺いします。銀行で得たスキルが転職後

閲覧用を除く有効票約80票の内訳は以下の通り。

 

①:コア業務で直接役に立っている     14票(18%)

②:直接ではないが側面的に役立っている  41票(51%)

③:全く~あまり役に立っていない      25票(31%)

 

この結果を見る時に注意しなければならないのが、本件では「再度銀行に横滑りして同じ業務をやっている方」「先述のスペシャリティを持っている方」を母数から除外できていない。これらの方は当然①を選択したことが想定され、その割合が2割を大きく下回るとは考えにくい。一方で、銀行員には短期離職者も多くその割合としては、離職者全体の3割と言われれば肌感覚と概ね一致する。その方々の多くが③を選択されたと仮定して、以下の様な結論を推定した。

 

スペシャリティを持たずに異業種に転職した場合、銀行での汎用スキルが業務でそのまま使える事は殆ど無いが、習熟度が一定以上の場合側面的には何かしらの役に立つ

 

これは個人的な肌感覚でも正しく、スペースにいらした方の中でも概ね共通見解だった様に思われる。

 

【ポテンシャル>>>銀行業務】

 転職活動時、私は銀行への横滑りと異業種転職の両方を受けていたのだが、実際今振り返ると、後者の面接等では銀行員としての汎用スキルについても話した結果のウケが悪かった、というか大体スルーされていた事が思い出される。実際現職へもそれとは異なる話がウケて入社することになったし、当時話した中身を思い出すと大体がスキルというよりポテンシャルについて話して内定を取った様に思う。これは採用後に分かった事で、実際中途採用に際しては何か特定のテーマを持って採用することが多いのだが「当該テーマの業務を終えた後に社内で腐らないか」ということは非常に気にされるので、業務習得等のポテンシャルは非常に重要なのだ。

 

【「決算を読める、ファイナンスが分かる」は採用理由にならない】

 転職して様々な業務に触れて分かった事だが、銀行員の「決算書を読める」は多分読める内に入らない。詳しくここで書く事はしないが、銀行員が出来るのは決算書を使って可能な極めて広い業務領域のほんの一部に過ぎない。またファイナンス一般の理解にしても、中小企業向けと大企業向けは全く違うし、最近流行のPFやSFは一般の融資業務の延長には無い。デリバに足を突っ込んだ瞬間に大抵の銀行員は歯が立たないだろうし、更にそれらのバックにある税務や会計処理に手が出るとも思われない。大企業であれば所謂「銀行窓口」はもっと立派な経歴の人間(例えば会計士)等が担当しており、ちょっと銀行で融資してたくらいで歯が立つような世界では無かった。はっきり言ってしまうとその辺は役には立たないのだ。

 

【営業は即戦力。その他側面知識としては採用後に役に立つ。】

 スキルそのものを押し出すのであれば、無形営業としての能力はそのまま即は売物になるので、スキルで戦うなら基本的にはここになると思われる。上述したファイナンスや事業の知識は、側面的にはこれらの知識も役に立つ。業務に携わりながら「それはですね」と言って知識や経験を蔵出しする場面は多かったし、それで重宝して貰えたとも思う。ただ上記の通り、中途採用はテーマをもって行いそれをクリアするかどうかで判断されるので、採用の場面においては2者択一になった場面で少々役に立つか程度が関の山かなというのが正直な所だ。

 

【「ポテンシャル」の正体】

 では、30くらいまでの銀行員にとって転職で強みとなる「ポテンシャル」とはそもそも何なのか。スペースで出た話題も含めてピックアップし、重要と思われる順に並べてみた。

①:継続的な自己啓発が習慣となっている点

②:数字への拘り。営業してのマインドセット。自責性。

③:ヒアリング能力。

④:計数観念

⑤:打たれ強さ。長時間労働やストレス耐性。

 

①は若くして転職する場合、転職先の業務や知識を習得し、継続学習するのが前提となるので、非常に重要な点であり、銀行員が転職できる理由の太宗を占める様に思われる

②は転職先で主に営業のマインドの低さに驚く銀行員も多い。これは20代で身に付けないと多分一生身に着ける事ができない。

③は営業をやっていければ身に付く能力で、対外・対内あらゆる点で使う。

④は事業として「筋の良し悪し」やビジネスとしての成否を見る力がある点。

⑤は、事実あるがあまりこれを押す所に行きたくはない…

 

【銀行員の転職戦略とその後】

 多分30前後の転職銀行員はステータスは高い。でも技が無い。そこで、どうすれば良いのか。基本的には

銀行で30くらいまでに鍛えたポテンシャルをもって、無形営業のスキル等を引っかけて転職し、転職先の仕事をしっかりと覚えて活躍する

ということになるんだと思う。早期退職や逆に35を過ぎての異業種転職等が上手くない理由について、言語化を試みるとすると、こういうことになるのではないだろうか。もう新しい事は勉強したくないな、と思うのであれば多分動かない方が良い。