fish-buddha’s diary

主にtwitterで書くには長くなり過ぎる長文をこちらに書いています。

消える「経理のおばちゃん」と増える簿記リーマン

経理のおばちゃんを消す仕事】

先日、某外資系ITコンサルタントのフォロワーさんと飲んでた際に「俺は、経理のおばちゃんを消す仕事をしてるんだ…」との独白を受けた。別に彼が外資系IT暗殺結社に勤めているのではなく、彼がシステム導入支援の仕事をしていて、その結果経理のおばちゃんが職を失う事になっているという話なのだが、これは身近な所では弊社でも同じことが起きていた。

 

経理のおばちゃんを消すマシン=ERPパッケージ】

昔は例えば交通費等の経費精算や請求書の発行業務、日々の伝票発行の様な所謂ルーティン化された日常経理業務は「経理のおばちゃん」が担っていたケースが多い様に思われる。この仕事が今凄い勢いで、SAP等のERPパッケージと呼ばれる統合ソフトウェアの導入により、消えて行っている。具体的に上記の様な作業は非経理の担当自らが操作を覚えて実施することを要求されており、その結果、専任の担当者は姿を消している。

 

【システムと外注の合わせ技で経理部内の担当も消える】

打ち込みを現場の社員が行うだけでなく、バックオフィスでの処理も外注に切り替わっており、経理部内で実施していた伝票審査等の機能が完全自動化又は外に出されていく動きが続いている。その他、固定資産や案件管理等も担当自ら入力することが求められ、専任の経理担当の仕事は基本的には打ち込まれた内容の管理・確認に移り変わりつつある。結果として作業人員の人数は右肩下がりに減らされている。

 

【消えた「経理のおばちゃん」とは】

では外注とERPパッケージの導入により姿を消しつつある「経理のおばちゃん」とはどの様な作業人員を指すのか。以下個人的なイメージを記載したい。

・無資格又は簿記3級程度の知識

・前例の無い取引等について主体的に判断ができない

・専業の経理又は総務等との兼任のみで他の職種の経験がない

・過去習得した知識のみで業務を行っており、継続的な自己啓発をしていない

・自ら調べて問題を解決できない。結果業務の幅を広げられない。

・過去に事務作業の手順は記憶したが、意味はよく分かっていない

要は昔の知識で仕事をしている受け身の方である。

 

【高度知識のある経理はむしろ不足】

経理のおばちゃんが消えていく一方で、初めての問題について会計士に聞く前に自ら答えを準備できたり、申告までの一連の業務を俯瞰して実施できる高度な経理人員はむしろ不足しており、見ると求人も多い。消えていっているのはあくまでも作業者としての経理人員であって、自ら考えて行動できる人員に対するニーズが衰えている様子はない。

 

【専門知識から前提知識と化す簿記】

上記の通り、ERPパッケージの導入により各担当者が自前で日常の経理処理を実施することとなり、これは借方・貸方をそれぞれ記載して行う。固定資産等のスポット対応も入口は担当が自らマニュアルを見て打つことになった。当然経理部員の補助は受けられるものの、手は自ら動かすしかなく、営業だろうが、法務だろうが、簿記の知識を前提としたシステムに触る事が要求され始めている。が、これは序の口に過ぎない。

 

【ツールとしての簿記】

簿記については、経営企画、システム、関連会社統括、事業計画部等では元より必須であり、無ければ話にならないが、最近は従来簿記を使用するイメージが無かった部門でも業務遂行のツールとして簿記を使用している。以下は実際に見た事例。

・商品企画部で当該商品のライフサイクルについてCFを作成して検証

・調達部署で納入製品を原価に分解、納入業者への単価開示を要求して交渉

・営業担当者が顧客の決算情報を確認し、与信枠管理用の信用調査を実施

 また顧客に対してPJのFS(フィジビリティ・スタディ)を示して営業

 

【簿記=バイキルト

これまで、簿記は経理を目指す人間が専業の経理になる目的で修める学問であって、ある意味でそれ自体が一つの目的になっていた。しかし上記の通り、専業の経理にあっても作業人員はERPパッケージ導入と外注化の波の前に消えて行き、一方で各事業部門の担当者がそれぞれの目的を達する為のツールとして簿記を使い始めている。これは過去単体で目的を達することができる、ドラクエの呪文で言えば「メラ」や「ホイミ」の様な立ち位置から、本業を補佐して強化する「バイキルト」や「スクルト」の様な役割に変わりつつあるのが最近の企業社会における簿記のあり様に思える。

 

【簿記時代に生き残る方法】

以下個人的なイメージ。

日商簿記3級は職種や業種を問わず、前提知識として取得

・ツールとして簿記を活かすのであれば日商簿記2級までの知識は前提

・会計について分からない事はググれば大体出てくるので、

 分からない事があればその場で調べる習慣を身に着ける。

・自分の業務や顧客に関連する数字に興味を持って調べてみる。

 

【簿記やろうぜ】

やろうぜ